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くものうえのこい

 うたプリアワードを受賞したST☆RISHは、メディアへの露出がどんどん増えていった。まず、歌番組の出演が決まった。バラエティ、ドラマ、次々と予定が埋まっていく。
 そうすると、同じグループでもプライベートで一緒になる時間はなくなる。トキヤは、うたプリアワードのタイトルを取る前も割とスケジュールが詰まっており、メンバーとの時間を確保するのに苦労していた。その多忙に拍車が掛かったのだ。辛うじてレッスン時間は確保しても、睡眠時間の確保さえも苦労している。そんな中、プライベートの時間など、望むべくもない。
 トキヤは今日マスターコースの寮から引っ越しをする予定だった。何度も繰り返す引っ越しに、コンパクトにまとまった荷物を、トキヤは手早く片付ける。
 今日を逃すと、引っ越しをする時間さえない。とりあえず部屋を空けることを優先して、荷物を箱に詰めていった。
 多忙を見越した社長の計らいで、簡単に荷物整理さえしておけば、後は業者がしてくれる事になっている。
 三人で過ごした部屋は、こんなに広かっただろうか。音也と嶺二は外出している。トキヤ一人の静かな室内は、どこかガランと無機質な印象を与えた。
「そろそろ荷物を取りに来る時間ですね」
 各自の都合のよい時間に、搬出業者が来る。残った物は処分してくれるらしく、必要な物だけを持って行けばよい。いつの間にか増えていた小物を手に持って、トキヤは動きを止めた。
 三人お揃いの食器だ。今までの物があるからそれでよいと言うトキヤに、音也と嶺二が調子に乗って買った物だった。約半年のドタバタとした想い出が蘇る。それを振り切るように、トキヤは段ボール箱の奥深くに、それをしまった。
「まいど〜〜!」
 ガヤガヤと部屋に入ってくる作業員に、トキヤは立ち上がって頭を下げる。
「よろしくお願いします」
「持って行くのは、こちらの物でよいですか」
 積み上げられた箱を指さして訊かれ、トキヤは頷く。
「はい。あとそちらのクローゼットの中の物をお願いします」
「かしこまりました」
 少人数でもやはりプロ。あっと言う間に、室内からはトキヤの物が消えていく。
 寂しい。そんな感傷が浮かんできて、それを振り切るように、トキヤは寮をあとにした。


 新しい寮室は個室だった。ST☆RISHのメンバーは皆、同じ建物内に部屋を与えられた。七人全員を同じフロアにするのは無理だったらしく、フロアは別れている。以前聞かされた記憶によると、音也のフロアはトキヤと違ったはずだ。偶然寮内で会う確率は、同フロアより低いだろう。トキヤはそのことを少し残念に思った。
 出会った頃はこんなに音也のことを好きになるなんて、思っても見なかった。騒々しいし、図々しいし、やたら距離が近いし。それなのに、ふと感じる絶妙な距離感だったり、真剣な表情だったり。そして、歌をこよなく愛するトキヤにとって、歌をうたう音也は、視線を反らせない存在だった。気がついたら、恋をしていた。
 恋愛禁止令があり、まして男同士。不毛以外のなにものでもないのに。
 一緒にアイドルデビューをして、恋は封じたはずだった。それなのに、時々こうして胸が痛む。
 今日は一月振りの完全オフだ。トキヤは室内を手早く片付けて、今度出演する台本を手に、ソファーに腰を落ち着けた。
 なかなか台本を確認する時間がない。顔合わせの前に、一通り目を通しておきたかった。
 登場人物の心情を追いながら、文字を進めていく。
 音也も一緒に出演するため、音也の演じる役の台詞が気になりつつ、ページを捲った。
 突然出てきたシーンにトキヤは手を止める。
 ラブシーン、とも呼べないような抱擁のシーンだった。それも音也の。トキヤ自身HAYATO時代から数えれば、片手で足りないくらいの恋愛を演じている。それでも、音也のそれは嫌だと心が騒いだ。
 馬鹿らしい考えだ。トキヤはそこまで冷静に判断して、自分の気持ちを握りつぶすように、胸の奥底に押し込んだ。


 そろそろ夕食にしようとトキヤは立ち上がる。
 そのタイミングでドアチャイムが鳴った。寮に入るには、エントランスのセキュリティーを解除しなければならず、このチャイムが鳴るということは、一緒の建物内に住む人間が尋ねてきたということだ。
 誰だと思いながら、トキヤの胸は期待で小さく弾んだ。
「はい」
 インターホンの画面に赤毛が映る。
 来訪者を確信して、トキヤは玄関に急いだ。
「トキヤ――!俺っ俺っ!!」
 音也らしい騒々しさに、クスリと笑いを零したトキヤは、意識してしかめっ面を作りながら、扉を開けた。
「貴方、騒々しいですよ。他の方の迷惑でしょう」
 防音完備の寮部屋は、廊下で騒いでも室内に籠もっていれば聞こえない。それをわかった上で、あえて注意する。
「トキヤ酷くない@俺が仕事で午前中いなかったら、とっとと寮からいなくなって!」
 午前中、音也は仕事があって出掛けていた。その間にトキヤは引っ越しを済ませたのだ。
 音也も午後から引っ越しをする予定で、一緒に作業をしようと誘われていた。それを無視する形で、トキヤは作業を完了していた。
 一年一緒に過ごして、別々の部屋になった。それはまだ耐えられたのだ。学園を卒業するということは、寮を出ていくということ。これから別々の部屋で過ごすのだ。そう納得していた。それがマスターコースでまた同室になってしまい。音也と、嶺二も一緒だったが、一緒の部屋で寝起きして、その生活に未練を感じてしまった。
 音也と一緒に引っ越し作業など、冗談じゃなかった。どうしたって、トキヤには耐えられない。
「なぜ貴方の帰宅を待たなければならないんですか」
 トキヤは正論で心を武装して、音也の前に立つ。
「トキヤは少しでも俺と一緒にいたいって思わないの」
 そんな事を言う音也に、トキヤは内心で動揺する。わかっている。これがいつもの音也で、その言葉に他意はない。音也は友人として、トキヤと少しでも一緒にいたかったのだろう。
「仕事で一緒になる機会も多いのです。わざわざプライベートまで一緒にいる必要がありますか」
 溜息を吐いて、呆れた振りをする。
 トキヤの本音は、もっと一緒にいる時間が欲しい。色々な音也の姿を見ていたい。
「まあいいや。夕飯食べさせて!」
 相変わらず、人の話を聞かない。それが目的だったのだろう。音也は僅かに低い場所から、トキヤを上目遣いに見つめた。
「……わかりました」
 音也のそれは質が悪い。本人は無意識らしいが、そうやって見つめられると、ついイエスと答えてしまう。
 それがトキヤだけに対する態度ではないと知っていても、トキヤはエプロンを片手に台所に立っていた。


 手の込んだ料理をするわけではないけれど、栄養バランスとカロリー計算は心がけている。明日以降、また仕事が忙しくなる。平行して作り置きのおかずを何品か作りながら、今日の夕食を作り上げた。
「はい。お待たせしました」
 二人の目の前には、湯気を立てる料理が並ぶ。同じだけの品数だが、量が違う。音也の前には、トキヤの何倍もの量が並んでいた。
「おいしそ〜〜」
 我慢出来ないのだろう。上擦った音也の声に、トキヤの心も弾む。
「冷めないうちに、いただきましょう」
「うん。いただきます!」
 こういう挨拶を欠かさないところが、音也のよいところだ。施設で育った音也は、いただきます。ごちそうさま。おはよう。おやすみ。いってきます。お帰り。そんな言葉を無意識に使う。中学生の頃から一人で暮らし、そういった会話をする機会が失われて久しかったトキヤには、それは新鮮に映った。
「いただきます」
 トキヤも感謝を声に出し、食事を始めた。


 食事が終わって使った皿を音也が洗う。この流れは学園時代から変わらない。
 そこまではいい。満腹になった音也は、自分の部屋に帰るのだろうと思ったのだ。
 それなのに、なぜかトキヤの座るソファーに腰を下ろしてきた。しかも、距離が微妙に近い。もう十センチ離れてくれないものか。
「?」
 差し出された手に、意味がわからずにトキヤは首を傾げた。
「合い鍵、頂戴」
 まるで当たり前のことのように言われて、トキヤは動きを止めた。
「なぜ?」
 普通の反応だろう。なぜ、恋人でもない相手に、合い鍵を渡す必要がある。
「前もくれてたじゃん」
 確かに、いつの間にか音也が合い鍵を作っていて、どうあっても返さないので、トキヤは諦めて放置していた。ただし、それを本心から認めていたわけではない。
「私は渡していません」
 トキヤと音也はそんな関係ではない。線引きだけはきちんとしておきたかった。
「え〜〜……いいじゃん。減る物じゃないし」
 しゅんと垂れ下がった耳の幻覚が見える。けれど、これに負けるわけにはいかない。
「ダメです」
「トキヤぁ〜〜」
 しゅんと上目遣いで覗き込まれて、トキヤは息を飲んだ。この音也の表情に、逆らえた試しがなかった。
「……――っ」
「俺達親友だろう?」
 きゅるんと言う擬音が聞こえて来そうな音也の様子に、ついにトキヤの心が折れた。
「――っわかりました!」
 そそくさと音也から離れて、今日受け取ったばかりの合い鍵を引き出しから取り出した。
「貴方を信じて渡すんです。決して悪用しないでくださいよ」
 ぱあっと輝いた音也の表情から視線をさりげなく外しながら、トキヤは音也の掌の上に、鍵を落とした。
「ありがとう!トキヤ――」
 飛びかかってこようとする音也に、慌てて両手を突き出す。
「ま……っ待ちなさい!」
 けれど、時既に遅し。トキヤは器用な音也に、ソファーの上に押し倒されるように、音也に飛びつかれてしまった。
 グリグリと肩口に音也の額が擦りつけられる。
 近い。近すぎる。
「――音也!」
 トキヤは悲鳴交じりの声を上げた。
 これ以上の接触は、トキヤが耐えられなかった。
 そうなってやっと、音也が離れていく。
「はい」
 他のことに気を取られて、ニコニコと差し出されたものを、トキヤは無意識に受け取ってしまう。
「これは……」
 トキヤの物と似た形状のそれは、間違いない。
「俺の部屋の鍵。トキヤも遊びに来てよ」
 当たり前のように渡されて、トキヤはそれをギュッと握り締めた。
「用もないのに、行くわけがないでしょう」
 そう言いつつ、トキヤはそれを返さない。だって、各人が渡されたスペアは一つずつ。それはまるで、トキヤが音也の特別なのだと言っているように思えるものだった。
「もうこんな時間かぁ〜〜」
 トキヤの思考を置き去りに、音也は立ち上がる。
「じゃあ、また明日ね」
 そのままあっけなく部屋を出て行く。
 急に静かになった室内に、トキヤは寂しさを覚えた。
 思い出してしまった人のいる温かさは、急になくなってしまうと寂しさしか感じない。
「おやすみなさい」
 もういない人に向かって、トキヤは呟いた。


 ベッドに横になったトキヤは、そろそろとパジャマの中に手を入れる。
 先ほどまでの音也を思い出し、それは熱を持っていた。
 下着を汚さないように、パジャマのズボンとパンツを勢いよく脱ぎ去る。
「音也」
 名前を呼びながら、そっと自身を握り込んだ。
 終われば虚しさしか感じないその行為を、年頃のトキヤは止められない。
 自身をキュッと握り締めて、手を上下に動かす。
「はっぁ……」
 熱い吐息が零れる。
 今日感じた音也の体温を思い出しながら、忙しなく指が動く。
 ベッドの上で、みっともなく下半身を晒して、トキヤは身をくねらせる。
 左手で自身を扱きながら、右手で先端を擦ってみる。そうすると、ジワリと先走りが溢れてきた。
「――っん」
『トキヤ』
 耳元で音也に囁かれる妄想とともに、鈴口をクリクリと撫でる。
『もう溢れてる。エッチだね』
「あ、――そんな……」
 トキヤの想像の中の音也は、ちょっと意地悪だ。
 トキヤの鈴口を爪の先で引っ掻いた。
「ああ!」
 トキヤはビクンと身体を揺らした。
 そうして仰向けに横になって、そろりと両脚を開く。
「あ、ダメ――」
 先走りで濡れた指を、トキヤは後孔へ押し当てた。
 クルクルと円を描くように指を動かして、襞を擽る。何度か後孔を使って自慰をしているトキヤの身体は、期待に震えた。
 片手で自身を扱きながら、人差し指をツプリと押し込む。
 思わずギュッと入り口を締め付けてしまった。
「あ……」
 トキヤは半開きの唇から、声を漏らす。
 そこは刺激を待ち構えていたかのように、指を噛み締めた。
 けれど、先走りを絡めた程度では、滑りが足りない。第一関節まで差し込んだところで、トキヤは一旦指を抜く。
 後孔が寂しげにヒクヒクと開閉するのがわかった。
 ベッドサイドの引き出しから、トキヤは使い掛けのローションを取り出した。
 滑りを指に絡めて、もう一度後孔へ指を挿れる。
「ああ!」
 今度はスムーズに根本まで挿っていく。
 トキヤは歓喜に声を上げた。
『こんなにヒクヒクして、そんなに欲しかった?』
「欲しい――っ」
 誰にも聴かれていないからこそ、トキヤは欲望を声に出す。
「音也、もっと!」
 指一本では足りなかった。音也のものは、きっともっと大きい。それで中を擦られたら、どんなに気持ちがよいだろう。
 トキヤは、幻覚の音也に恥ずかしいところを見せつけるように、大きく脚を広げた。
 奥まで滑りを塗り込めるように指を往復して、中指も入り口に添える。
 トキヤの胸は期待に高鳴った。
「ひぃ――っ」
 先ほどより大きい質量に、トキヤは胸を反らした。触ってもいない乳首は、ピンと起ち上がっている。
 それがパジャマに擦れて、さらに腰の奥の痺れが酷くなった。
「音也――」
 トキヤは音也の名前を強請るように呼ぶ。乳首も触って欲しかった。
「ああ……んっ」
 自身を握っていた手を離して、トキヤは胸元に手を持っていく。先走りで濡れた手で、パジャマの上から乳首を抓む。
「やあ――ああ!」
 脳が痺れるような快感が突き抜けて、トキヤはシーツを蹴る。そのまま身体がずり上がった。
「あ、……ダメ――ダメっ」
 その間も、後孔に挿った指は、クチョクチョと音をさせながら、動かし続ける。
 二本の指を広げてみたり、前後に動かしたり。そのリズムに合わせて、腰も動いてしまう。
『トキヤの中、真っ赤』
「見て――っいやらしいトキヤの中、見て。音也」
 見せつけるように、トキヤは二本の指で襞を開いて見せた。
『淫乱』
「ひぃ――っひゃあ!」
 涎を垂らしながら、トキヤは乳首を押しつぶす。そうして指を激しく動かしながら、腰をカクカクと揺らした。
「音也――っ音也!」
 前立腺をやっとのことで探り当てて、グリグリと指を押しつけた。
「やあ――ああ!」
 ビュルっとトキヤのものから、白濁が飛び出した。
「ああっ――いい!……ぃい――!!」
 ふっくらとしたシコリを虐めながら、トキヤは後孔だけで絶頂に達していた。


 射精が終わり、グッタリとしたトキヤは、後孔から指を抜いた。
 自身の体液とローションで汚れた指を、気怠げにティッシュで拭う。
 自慰をするのはひさしぶりだった。三人部屋になり、安心して一人になることが出来ずに、半年ほど満足な自慰をしていなかった。
 前を慰めるだけでは、トキヤは満足できない。音也への恋心を自覚して、部屋に音也がいない生活に寂しさを感じてしまったトキヤは、つい音也を思って自慰をするようになった。一人暮らしが、それに拍車を掛ける。誰に知られることもない秘密。
 気がついたら、後孔を使って一人遊びに興じていた。一度覚えた快楽に、普段の禁欲的なほどのストイックさの反動か、トキヤはのめり込んでいく。
 偶々見つけたインターネットでのアダルトグッズの販売。秘密が守られるというのも大きかった。後ろを指で弄る快感を知ってしまったトキヤは、ついに道具にまで手を出してしまった。
 一般的なディルド、アナルパール、ローター。初めは恐る恐る使っていた。けれど慣れてくると、行為はエスカレートする。もう少し太い物。刺激の強い物。そう言う物も増えていき、トキヤの他人には決してみせることの出来ないおもちゃ箱は、すでに一杯だ。
 トキヤはベッド下の奥深くから、今日しまったおもちゃ箱を取り出した。
 ひさしぶりの刺激に、トキヤの後孔は物足りなさで、いまだにひくついていた。
 もっと強い刺激が欲しい。けれど、半年で閉じてしまった後孔に、あまり大きな物を使うのも。そうやって吟味して、モーターを内蔵した細身のアナルパールを取り出した。
 球体部分の高低差が大きくて、襞が何度も引き延ばされる感覚や、ゴリゴリと前立腺を押しつぶす感覚、思っても見ない震え方をするそれは、トキヤのお気に入りの一つだった。
 トキヤは気分を高めるために、それにしゃぶりついた。一個ずつパールを舐って、唾液を絡める。
「う――ん」
 わざと子猫のように背中を丸めて蹲る。
 一粒一粒、いやらしく舐めて、鼻から息を吐き出した。何個も連なるパールに、段々と期待で胸がドキドキとし始める。これからこれが、トキヤの中に挿るのだ。
 ようやく全ての球体を舐めきって、トキヤはそれを持ち上げた。
「音也――見ててください」
 四つん這いになって、尻だけを高く上げる。そうして後ろ手に、見せつけるように後孔を開いて見せた。
「ん――っ」
 一つ目のパールを押し込む。さほど大きくもないそれは、あっさりと中に収まった。
 それに気をよくして、トキヤは次々にパールを押し込んでいく。そうすると、どんどんパールが奥へ押し込まれて、段々と腹が苦しくなる。それでもトキヤは手を止めない。自分で何個が限界かわかっていた。
「あ――っん!」
 最後のパールを押し込む。一番始めに入れたパールはS字結腸近くまで届いている。
 流石に身体が異物を押し出そうとしていた。
 それも力を入れて押し込んで、トキヤはスイッチを押した。
「ひゃあ――!!」
 このアナルパールは変わっていて、内蔵されたモーターで微量の振動をする。それが後孔を刺激して、腰全体が痺れてくるのだ。
「あ、あ……あ……」
 トキヤは情けなくも喘ぎながら、シーツに頬を擦りつけた。
「気持ちいい――」
 陰茎からはトロリトロリと白いものが溢れている。後孔の刺激で感じる快感に、勢いなく射精していた。
「――んっ」
 段々とパールが後孔から押し出される。襞を震わせながら孔を広げていくパールは、最高に気持ちよい。
『トキヤって変態』
 胸をシーツに擦りつけながら、アナルパールの刺激に腰を振るトキヤを罵る音也が、トキヤの脳裏に浮かんだ。
「だって――」
 こんな快感、我慢出来ない。
 涙声でトキヤは音也に縋るように呟いた。
 一個、二個と排出されていくパールは、五個くらいで止まった。あとは息まないと出てきそうにない。排泄するように息んで出すか、震える指で引っ張り出すか。トキヤは後者を選んだ。
「――ぅん」
 輪っかに震える指を引っかけて、トキヤは腕に力を入れた。
「ひぃ――!!」
 震えながら引っ張り出されるそれに、悲鳴を上げる。行き過ぎた快感に、トキヤの身体は痙攣した。
 何度も振動とともに開かれる入り口は、段々と力をなくしていく。
 最後のパールが出て行く頃には、パッカリとみっともなく口を開け、閉じ切らなくなっていた。
「あ、――あ、あ」
 快感にシーツを汚して、トキヤは悦楽に浸った。
 勢いよく射精をしていない身体は、それでも満たされる。トキヤは残った精液を絞り出すように自身を扱いて、身体から力を抜いた。
 このまま寝るわけにはいかない。わかっていても、瞼が重くなる。
 トキヤは仕方なしに、体液とローションで汚れた身体をティッシュで拭って、やっとの思いでパジャマを着て目を閉じた。
(後略)

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